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技術よりなことをざっくばらんにアウトプットします。

Let's Split Rebuild Log

この記事は キーボード #1 Advent Calendar 2019 の 24 日目の記事です。

adventar.org

はじめに

2年前に Let's Split を組み立てて Build Log を書きました。

fstn.hateblo.jp

その当時ははじめの自作キーボードで、中国などからパーツを取り寄せて1ヶ月ほどかけて組み立てたのでよく覚えています。 最初は「こんなのでキーボードとして動くのだろうか?」と半信半疑だったため、いざ組み立て動いたときは感動しました。

さてあれから2年たって国内の自作キーボード事情は大きく変化しました。 いまやネット販売で国内からキーボードキットやキースイッチ、キーキャップなどがすぐ買えるし、秋葉原まで出れば専門の実店舗もあります。 なんの不安もなくパーツが購入でき、Buildログもネットを漁ればたくさん出てきます。

筆者自身もCorne Keyboardシリーズをキット化し販売を続けて来ました。 キーボードキットをたくさん組み立てて来ましたが、Let's Split を組み立てた当時の感動は薄れて組み立てることがただの作業に感じることも珍しくありません(実際プロトタイプなどを組み立てるのは作業ではありますが…)。

ここで当時の感動を思い出すために Let's Split をもう一度組み立ててみようと思い立ったわけです。 と、ただ組み立てるだけでは面白くないので今回はテンションを上げるためにオリジナルの箱を作ってみました。

箱

この記事ではその組立過程と改めて感じたことを書きます。

Build Let's Split

プラモデルを買うとテンションが上がりますが、これの要因の一つに「カッコいい箱」があると思っています。 実際に買ってきて箱を手に入れることで所有欲が収まるのでそのまま積んでしまいます。ただその積まれた様子も様になっていてそれも満足感が高いんです。 あの箱の中に未組立のパーツがぎっしり入っている、そう思うとたまらないわけです。

さて、キーボードの場合はどうかというと、これは満足感が非常に高いです。 正直もう組み立てないでこのまま積んでおこうかと思いました。それぐらいいいものに感じました。

ただこのままだと企画が進まないので組み立てていきます。

ダイオードはSMDタイプのものが大量に余っていたためリードタイプではなくこちらを使用しました。 最近の国内のキットを見てみるとダイオードの向きがすべて揃っていて、配置にも気を遣っていてつけやすくなっていると思います。 Let's Split を組み立てて思い出しましたが、これ向きがバラバラなんですよね。SMDタイプなので一つ一つ付けていくわけですが、目を離すとどこまで付けたか見失うことがあり結構ストレスでした。

TRRSジャックは国内でよくみる MJ-4PP-9 ではなくて、SJ-43514 を使います。 筆者はこのジャックがとても好きなんですが、残念ながら入手性が悪くて流行りませんでした。

ところでこの半田ジャンパってちょっと工夫すればなくせるような(リバーシブル対応で多く穴をあけるか半田ジャンパさせるかの選択が必要ですが)。

Let's Split は左右対称なので同じ面で実装しても使えます。ただし TRRS ケーブルを刺したときに不格好になってしまうので普段使いするときはちゃんと左右で実装した方がいいと思います。 このあたりは Zinc がうまくカバーしていて、PCBが非リバーシブルながら、TRRSジャックの位置を真ん中にすることでこの問題を解決しています。

リセットスイッチはいつものタクトスイッチを付けました。ただ想定としてはここには横向きのタクトスイッチが付けられるで持ってればその方が良かったです。

一番最初に Let's Split を組み立てたときはアクリルカットしてくれる業者も限られていました。Fabカフェなどでカットできれば一番安く済むのですが、別の方のビルドガイドでは Ponoko を使っていたので、それに従って Ponoko で発注しました。 Let's Split 2台分で4~5000円ぐらいして、当時は「高いなー」と思っていて余ったやつをずっと残していました。 今思うとこのアクリルカットの発注が Let's Split のパーツを揃える中で一番難易度が高かったです。ちなみにカットのデータも公開されているものをそのまま使ったのでアルプススイッチに対応していたりします。

スイッチは Gateron Ink Red を使用しました。黒いPCBに赤いスイッチは映えますね。

これで完成です。 キーキャップは Rama works の GRID SET A の 032U です。 途中スペーサーの長さや位置が合わなかったりしてちょっとPCBを加工したりしていたので意外と時間がかかりました。

Let's Split を改めて組み立ててみて

率直な感想ですが、組み立てづらく非常に満足感が低いです。 気になる点を列挙すると

  • ダイオードの向きが不揃い
  • ProMicroをキーの下に仕込むため無駄に高さがある
  • アクリルのサンドイッチケースで耐久性が低い
  • リバーシブルのPCBのため不要な穴が多い

ちなみにこのPCBはオリジナルのものを改良したものですが、もとのバージョンは

  • リセットスイッチが実装できない
  • キースイッチの位置がずれてる
  • TRRSジャックの半田ジャンパが複雑
  • 版権的にアウトな泥棒の絵が書いてある

などの問題があったりします。 版権の問題以外はそこまで気にならないレベルではありますが…

これから

Let's Split の組み立ては箱を作って詰めたところがピークだったという残念な結果に終わってしまいました。 ということで下記のようなものを進めています。

順当に進めば次の技術書典で「自作キーボード設計入門3」が出ます。 内容の詳細の公開はまだ控えますが、Let's Splitを題材にしてPCBの設計方法からケース設計までを載せる予定です。 既刊の内容と被る部分もありますが、基本的にはそれらを事前に読んで置くと理解が深まるような内容にするつもり(難易度をちょっと上げるつもり)なので宜しくおねがいします。